4月も早いもので、半ばにさしかかりましたね(^^♪
私の子供が今年小学1年生になると同時に、半年前から動いていた上の乳歯の前歯2本がついに抜けました!!
産まれてから沢山ご飯を食べて成長するのに活躍してくれた小さな乳歯ですが、大きな存在です☆
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今日はそんな乳歯についてのお話をしたいと思います。
皆さんは過剰歯(かじょうし)をご存じですか?
- ◆過剰歯(過剰歯)とは
歯は通常、乳歯列期で20本、永久歯列期で28本、これに智歯(親知らず)が人により1~4本加わります。それよりも多く形成された歯を “過剰歯(かじょうし)”といいます。真っすぐ歯列内に生えてくる場合もありますが、歯列外に生えてくるものや正常に生えることができず骨の中に埋まったまま(埋伏)の場合が多く、歯が上下逆転して鼻のほうへ向かって生えている “逆性埋伏過剰歯(ぎゃくせいまいふくかじょうし)” のことも少なくありません。歯の形は、正常に近いものから退化傾向により矮小なものや不完全な形を示すものまでさまざまです。また女性よりも男性に多いと言われています。
- ◆ 正中埋伏過剰歯とは
過剰歯は、顎の中のどこにでも発生する可能性はあるのですが、上顎の前歯の歯根付近には、過剰歯が出現することが少なくありません。特に まん中の歯の間に 高い頻度でみられ、 “正中過剰歯(せいちゅうかじょうし)” 、埋まっている場合は “正中埋伏過剰歯(せいちゅうまいふくかじょうし)” と呼ばれます。
◆ 過剰歯の原因
原因ははっきりしていません。
「人間が進化する過程で 徐々に失われてしまった歯が 突然再び現れた」という 説や、「遺伝的要素、外傷に よって 歯を形作る原基(歯胚:しはい)が 過剰につくられた」、「1個の歯胚が分裂することで歯が正常な数より多く作られてしまう」など、さまざまな説があげられています。
- ◆ 過剰歯の症状
この歯は 通常自覚症状がほとんどないものが多く、X線写真検査によって初めて発見されることが多いです。
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上顎正中過剰埋伏歯を放置した場合に よく起こる異常は 歯並びへの影響です。左右の中切歯の歯間離開(正中離開:せいちゅうりかい)や、永久歯が 本来の位置よりもずれて生えてしまったりします。また、中切歯が生えてくるタイミングが遅れたり(萌出遅延:ほうしゅつちえん)、生えてくることができなかったり(萌出障害:ほうしゅつしょうがい)します。さらに過剰歯が生える過程で、近くにある永久歯の根が吸収したり、歯の動揺を大きくしたり、歯根の形成異常などの原因になることもあります。
- ◆ 過剰歯の治療
過剰歯は通常 自覚症状がほとんどないので 気づかないため、X線写真検査を行って過剰歯の有無の確認をします。特に 上顎の中切歯の萌出遅延や 正中離開は 正中埋伏過剰歯が原因のことも多く、適切な時期での対応が 必要になる場合も多いため、早い時期にレントゲン写真でのチェックが必要です。
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過剰歯は、噛み合わせや 周囲の歯に悪影響を及ぼすおそれがある場合、一般的に 抜歯の対象になります。正中埋伏過剰歯が埋まっている部分は、前歯が大きく離開してしまうことが多いのです。これを抜歯すると、特に矯正治療などしなくても 離開していた部分が改善されることもあります。自然に修正するのが困難な場合は、矯正治療が必要になってきます。
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骨の深い位置に 埋伏した過剰歯のように とくに悪影響を及ぼさなければ、過剰歯の抜歯をした時の 近くにある永久歯の歯根損傷や歯髄壊死のリスクを考慮して、抜歯せずに経過観察する場合もあります。過剰歯に気づかずに放置されており、成人になって見つかる場合もありますが、歯並びや周囲の歯に影響がない場合は そのまま様子をみることが多いです。
- ◆ 埋伏過剰歯の抜歯時期
年齢や埋伏歯の状態によって、抜歯する時期を検討します。順生の埋伏過剰歯は、口の中に出てくることが 期待できます。しかし顎の骨の中にとどまり、”埋伏歯”となっている場合の抜歯の判断は、他の歯の根を傷める危険性・移動の方向・抜歯した場合の傷の大きさ 等を考慮して 抜歯を検討します。
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低年齢すぎると 処置を行うこと自体が難しいですし、早期であると 生え変わりの永久歯の歯胚を 傷つけてしまう危険もあります。あまり長く放置していると 過剰歯の抜歯により永久歯の神経を傷つける危険があります。周囲の永久歯形成への影響を考慮すると、乳歯から永久歯への交換期(概ね6~7歳)に 過剰歯の抜歯をお勧めすることが多いです。レントゲン写真などで 定期的に観察しながら 抜歯時期や方法を相談していくのが良いと思われます。
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上顎中切歯がすでに生えている場合、正中埋伏過剰歯が 前歯の歯根に当たって 正常な歯並びの邪魔をして 歯間離開を引き起こしていることがあります。この場合は、たとえ過剰歯が見えない状態でも 学童期に抜歯をしたほうがよいでしょう。永久歯の歯並びに影響しない埋伏過剰歯は、抜歯せずに経過観察する場合も多いです。そのままにしていた過剰歯が、大人(中高年)になってから 感染を受けたり、義歯の障害となるようになったりして、抜歯されることもあります。
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過剰歯の抜歯後は、後続永久歯の生え方を経過観察します。半年程度経過しても生えてこないようなら、再度開窓術を行って 生えてくるように促します。それでも生えてこない場合は、矯正により引っぱり出す必要があります。萌出後に歯並びが気になるようなら矯正治療を行うこともあります。
過剰歯はそれが発生した場所によっては正常な歯の萌出や歯並びに大きく影響する場合があります。埋伏過剰歯が見つかった場合、現在、埋伏過剰歯があることによってどんな問題があるのか、放置することによってどんな問題が起きる事が予想されるのか、どのタイミングで処置を行なうのがよいのかなど、かかりつけの先生とよくご相談されることをお勧めいたします。